遺族(法定相続人、ほとんどの場合連帯保証人でもある)は部屋を明け渡す前に、部屋から故人のモノを運び出したり、処分します。遺品整理のプロである業者へその作業を依頼することもあります。

遺族が「相続放棄を行うためお部屋の遺品整理を行うことが出来ない」と申し出ることもあります。この場合、大家さんが遺品整理を行う必要がある場合も。そのケースについては別の記事で詳しく解説する予定です。

物件の原状回復費用・家賃について

家賃・原状回復費用の請求

家賃・原状回復費用(厳密には故意、過失でないもののみ)は連帯保証人と(遺産相続を放棄しないならば)法定相続人に支払い義務があります。

家賃に関しては、明け渡しが完了するまで、すなわち遺品の整理を終えて鍵を返却するまでの間発生した金額を請求できます。

一方、敷金や礼金で収まらない原状回復費用は、遺族や連帯保証人に請求することになりますが、全額負担してくれるとは限りません。これについては以下で説明します。

孤独死では原状回復義務は発生しない?

原状回復についてはこれまで説明した通り、借主の故意や過失等によって生じる住居の摩耗、破損の修復作業の事を指し、連帯保証人、法定相続人はその修復費用の支払い義務を持ちます。

しかし、孤独死は故意や過失によるものでは無いとされており、孤独死により生じたお部屋の汚れに対し、連帯保証人や法定相続人は原状回復義務は発生しないという見解もあります。この辺についてはまだ明確な判例も無く、弁護士によっても意見が分かれるところです。

遺族に寄り添う対応が大切

孤独死による部屋の原状回復費用を遺族に請求できるかどうかは微妙なところであり、相続放棄をされると完全に支払い義務(経年劣化に対するものも含む)は無くなってしまいます。

遺族側もあなたに迷惑をかけてしまったという思いがあるので、負担できる分は自分達でなんとかしたいと考えているはず。

あなたが親身になって対応すれば、遺族の不安も取り除くことができ、遺族側もお世話になったので少しでも多く払いたいという気持ちになるはずなので、お互いにとって良い結果をもたらします。是非丁寧な対応を忘れずに!

損害賠償請求は殆どのケースで認められない

孤独死はあくまで自然死であり、故意や過失によるものではないとされており、たとえそのことにより家賃減額などの対応を強いられたとしても、連帯保証人や法定相続人に損害賠償請求を行う事はできません。

借主が孤独死した時の対処法【まとめ】

他にも様々なケースがある!

以上、借主が孤独死した場合、大家さんが行うべき対応をまとめました。本記事では、以下のようなケースを扱いました。

【死後早期発見のため特殊清掃は不必要で、大家-遺族間の連絡も問題無い、相続放棄も行われず、遺族による修繕費用・家賃・明け渡しへの対応もスムーズ】

ただし、他にも様々なケースが存在します。例として以下の4つが挙げられます。

・特殊清掃が必要な場合

・遺族へ連絡がつかない場合

・遺族が相続放棄をした場合

・大家が孤独死対策保険会社へ加入していた場合

ケースによって大家さんが取るべき行動も異なってきます。これら多様なケースに関しても、解説していけたらなと思います!

遺品整理の教科書では、大家さんも知っておきたい遺品整理の情報を分かりやすくまとめています。ぜひ他の記事も確認してみてください!

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