本記事ではアパート・マンションの借主が孤独死となった場合、大家さんがとるべき対処を解説します。
貸し出し中の部屋での孤独死で、遺体発見が早く部屋の汚染も軽度であり、特殊清掃の必要がないケースを扱います。
また、遺族との連絡もスムーズに行われ、遺産相続放棄を行わず、家賃や原状回復費用の支払いにもすんなり応じてくれるものとします。まとめると以下のようになります。
・室内での孤独死
・遺体の発見が早く、大々的な特殊清掃の必要なし
・遺族との連絡がつく
・遺産相続放棄は行われない
・部屋の修繕費用や家賃の支払いも応じてくれる
1.遺体発見
2.警察が遺体の回収
3.遺族と物件(家賃、原状回復費用、明け渡し)について相談
4.遺品整理後、お部屋の明け渡し
原状回復とは、借主の故意や過失等によって生じる住居の摩耗、破損の修復作業の事を指します。連帯保証人、法定相続人はその修復費用の支払い義務を持ちます。
遺体発見にも以下の3通りが想定されます。
・大家自身が発見
・近隣住民からの通報
・家族・知人が発見
よくあるケースとして、近隣住民から「異臭がする」との連絡を受けて、家を訪問し遺体を発見するというパターンがあります。
基本的に、たとえ大家であろうとも、無断で部屋に入る事は法律で固く禁じられています。ただし、緊急を要する場合には「緊急事務管理(民法第698条)」として部屋に入室することが許されます。
緊急事務管理とは、火事などにより他者の身体や財産が脅かされる緊急事態では代わりにそれらを守るための行為を行っても良いというものであり、異臭、腐臭がする場合もそのようなケースに当てはまります。
家族や知人が部屋に訪れて発見するケースの場合、警察や当事者の家族等から遺体発見の連絡が来ます。
当事者の家族や知人から大家のあなたへ問い合わせがあった際は、明らかに亡くなっている事が分かるのであれば警察(110番)への問い合わせを促し、生死が不明である時は救急(119番)への連絡を指南しましょう。
近隣住民や家族が異臭について警察に直接問い合わせた場合、警察から大家の方へ連絡が行き、立ち合いの元部屋の解錠を促されます。
緊急を要する案件なので、警察からの問い合わせには迅速に対応するようにして下さい。
たとえ自殺や他殺で無い事が明らかであったとしても、警察は孤独死を「事故」として扱い、現場検証が行われます。この間、大家や管理会社であろうとも部屋の中へ立ち入る事は出来ません。
現場検証で遺体の身元の判明し、事件性が無い事が分かれば警察はお部屋から撤退し、後は大家、管理会社、連帯保証人、遺族が今後の事について話合う事になります。
家賃等のお金の問題も絡み、遺族も動転しているはずなので、なるべく早くあなたから連絡をつけるべきだと思います。
また、迅速な対応は遺族から好印象を得られ、後の原状復帰費用の交渉を円滑に進めることができます。
遺族、もしくは連帯保証人と話すべき項目は以下の2つです。
・遺品整理について
・部屋の明け渡しについて
・原状回復費用や家賃について
孤独死の現場の多くは独り暮らしであり、事故後お部屋を解約するパターンが殆どだと思います。基本的に部屋を明け渡すまでは家賃は発生し続けますので、後々トラブルにならないためにもお部屋の明け渡しについては早急に対応しましょう。
また、原状回復費用も遺族や連帯保証人が支払いに応じてくれる場合もあるので、しっかり話し合うべきです。
契約者が亡くなった場合、家賃の支払い義務は、「連帯保証人」と「法定相続人」の二人にあるので、部屋の明け渡し交渉はこの2者のどちらかに対して行います。
法定相続人は、遺産分割協議を終えるまで待つようお願いする場合がある一方、連帯保証人では、家賃をこれ以上発生させたくない思いから早急に部屋の明け渡しに対応してくれるケースが多いようです。
部屋の明け渡しには法定相続人の同意も必ず必要ですが、まず最初に交渉する相手として連帯保証人を選択するのがベターでしょう!
【MEMO】連帯保証人は故人の身内である場合が多く、味方につけると法定相続人(他の身内)との話し合いがスムーズになる。また、連帯保証人=法定相続人といったケースの場合でも、連帯保証人は相続放棄により支払い義務を免れることはできないので、連帯保証人側も交渉を迅速に進める必要がある。