コンコルド効果とは、成し遂げるよりも途中放棄してしまったほうがよい、成し遂げることが悪い選択肢となる現象を指します。
そして悪い選択肢をとってしまう理由は、これまでに費やしてきたお金や努力が無駄になることを恐れるから。つまり、「もったいない」から。
昔購入したミキサーやタコ焼き機などをほとんど使わずにしまっている人は多いでしょう。これは、コンコルド効果の思考と重なる部分があります。ヒトは「使い切る」よりも「手放す」方が吉となると知っていても、良くない選択をしてしまいがちなのです。
本記事では、コンコルド効果とその実例について詳しく解説します。そしてその考え方をモノをつい溜め込んでしまう人の考え方を理解するために応用していきます。
・コンコルド効果とは
・コンコルド効果の実例エピソード
・モノを手放せない人について考える
コンコルド効果とは、これまでに費やしてきたお金と努力を無駄にしないため、プロジェクトやアイデアにさらなる予算をつぎ込んで完成させることが、結果として良くない選択となること。ヒトの心理が引き起こす現象です。
日本では「最後まであきらめるな」「一度決めたら何が何でもやり遂げろ」という教え(よくない教え?)がありますが、その通りにしたら結果的に損をした。途中で中止したほうが得だった、というイメージを持ってもらえればいいと思います。
コンコルド効果には、その語源となった実例エピソードが存在します。そのエピソードは記事下部で解説しています。
コンコルド効果の語源は、後述する超音速旅客機「コンコルド」です。
ちなみに、英語では「concorde fallacy」と呼ばれています。ケンブリッジ辞書にも記載されていますよ。
上述の通りコンコルドとは、イギリスの航空機メーカーとフランスの航空機メーカーが共同で開発に取り組んだ旅客機の名前です。世界でほぼ唯一の、音速を超える旅客機として有名です。
1969年からおよそ20機が生産され、2003年に退役(使用されなくなった)しました。
コンコルドは、音速を超える旅客機として、開発すれば多くの航空会社に購入してもらえるだろうと見込まれていました。実際、開発途中から世界各国から100機以上の注文があったそうです。
しかし、開発が進むにつれ超音速旅客機が抱える以下のような問題点が分かってきました。
・音速を超えることによるソニックブームなどの影響で、航路や乗り入れ先が限られる
・スピード性能などのために、燃料の消費が激しい
・乗員数が100名までと少なく、運賃が高い
そのため、次第にキャンセルの連絡が増え、最終的には16機体とオリジナルの4機のみが残る結果となりました。
キャンセルなどが相次ぎ「売れない」ことが分かったころから、開発を中止したほうが経済的には損をせずに済むことが明らかとなりました。
このままコンコルドを完成させるよりも計画を中止することで、費やされるはずの予算を失わずに済みます。契約した航空会社などへ違約金や賠償金を支払う必要はありますが、それを支払ったとしても、はるかにお得だったのです。
もともとは250機売れれば採算が取れるといわれていたところを、16機しか売れなかったため、当然と言えば当然ですよね。
しかし、当時の責任者は、これまでに費やしたお金・時間・労力を無駄にしてしまうことを恐れて開発を続行。
結果として、数兆円の赤字を生み出してしまいました。
それなりの金額を出して購入したタコ焼き器やミキサー、まったく使用せずに置きっぱなしという方や、家族がそうしている方は結構多いと思います。
実際のところ、今後それらを使う機会はほとんどないでしょう。これまでも身近にあったけど使っていなかったものを、ある日突然使いたくなるということは少ないはずです。特に、お家に置きっぱなしの道具に関しては。
それなら、リサイクルショップで売ってしまったり、使う予定のある友人などへ譲ったりしたほうが有益です。前者であれば僅かながらもお金になりますし、後者なら人間関係を良くすることが出来ます。
むしろ家に置きっぱなしの方が、その分スペースをとられてしまう=家賃・土地代がかかるため損となるかもしれません。
コンコルド効果の実例を読んでもらって分かる通り、ヒトは「損」と分かっているのにも関わらず、続行するという選択肢をとってしまうことがあります。
モノを手放せない人も、「これって損かもな」とはわかっていても、一度お金を支払って買ったものについては、もとをとるまでは手放したくないのでしょう。自分の行った選択でお金を失った、しかもほとんど活用することがなかった、ということを認めたくないのです。
以上、コンコルド効果とその実例エピソード、そしてその考え方を応用してモノを捨てられない人が「なぜ手放せないのか」について解説しました。
当サイトでは、他にも「捨てられない心理」について解説した記事を用意しています。ぜひそちらもチェックしてみてください。