サンクコストとは?モノを手放せない理由は費やしたお金と時間かも

サンクコストは既に費やしたお金や労力のことを指します。そして、ヒトはサンクコストを意識するあまり誤った判断をしてしまうことがあります。モノを捨てられない人は、もしかするとサンクコストに振り回されているのかもしれません。

本記事の要約

サンクコストとは、経済学やビジネスにおいてよく用いられる言葉で、既に費やしていて取り戻すことの出来ない資本(お金や労力、時間など)を指します。

ヒトは、サンクコストを意識するあまり、合理的な判断を下すことが出来なくなることがあると言われています。つまり、サンクコストのせいで「損する」選択をとってしまうのです。


これは、もう使わないモノ・不要なモノを捨てられずに保有し続けてしまう、俗にいう「捨てられない人・ためこみ症の人」にも当てはまりそうですよね。サンクコストを意識しすぎる=もったいない、という思い込みのせいで、より損をしているのです。


本記事では、サンクコストの意味と、モノを手放せない人の思考について解説していきます。サンクコストは経済学において用いられると述べましたが、難しくありません。具体例を用いて分かりやすく解説しますのでご安心ください。

モノを手放せなくて困っている人、家族がためこみ症で悩んでいる人にぜひ読んでもらいたい記事です。

本記事で解説する内容

・サンクコストとは

・サンクコストの有名な例

・モノを手放せないのはサンクコストのせい?

サンクコストとは

取り戻すことの出来ない使用済みの資金や労力

サンクコストとは、費やした資金や労力・時間などのうち、もう取り返すことが出来ないものを指す言葉です。主に経済学やビジネスにおいて用いられます。

サンクコストという呼び方は英語のsunk costのカタカナ読みです。日本においてはsunk costを和訳した「埋没費用」と呼ばれることもあります。また、英語ではsunk costのほかretrospective costと呼ばれることもあります。

サンクコストの例

車の購入を例にとってみましょう。あなたが新車を購入した際、それをすぐに中古車として売ることが出来ます。しかし、あなたが本来購入した額よりも少ないお金が手元に戻ってきます。

最初に支払ったお金が戻ってくることはありません。これがサンクコストです。

サンクコストの使い方

サンクコストは、経済学やビジネスにおいて、行動や決断の合理性を考える際に用いられることが多いです。合理性とは「効率が良いかどうか」という意味です。

上の車の例に関して、もしもその時点で車を売った方が持ち続けるよりも価値を得られる場合、サンクコストに関わらず、売る方が合理的です。

例えば、車を購入したはいいが出張が多くほとんど車に乗ることがない、都心のため車を置くための駐車場代がかかる、今後8~10年を考えても頻繁に乗ることはありそうもない、といった要素がある場合、売ってしまったほうがよさそうです。

サンクコストは誤った選択肢を導きだすことがある

一般的に、サンクコストを考慮するあまり、将来の選択が合理的ではくなってしまうことが知られています。

以下の有名な例を見てみましょう。

サンクコストの有名な例

野球の試合がつまらなかったらどうする?

あなたが野球の試合を観戦したいと思い、実際に試合を観に行った場合。以下の2つの選択肢を得たとします。

1.チケット分の料金を払い、試合が始まったがそこまで面白くない。それでもそのまま試合終了まで観戦を続ける。

2.チケット分の代金を払い、試合が始まったがそこまで面白くない。試合終了まで待っていてもムダなので、球場を出て他のことに時間を充てる。


あなたならどちらを選びますか?

正しい選択はどちら?

この場合、2つ目の選択肢がより効率的だとされています。理由を解説していきましょう。

まず、いずれの選択肢においてもチケット料金はすでに支払われており、もう戻ってくることはありません。サンクコストです。

そのため、ここで行う選択において検討するべきは「その試合を見たいかどうか」です。たとえ最後まで観戦したところで、支払ったお金は戻ってきません。


2つ目の選択肢をとることで、あなたは既に支払ったチケット代は失ってしまいます。

1つ目の選択肢をとると、あなたは既に支払ったチケット代に加えて、面白くない試合を観覧するために時間まで無駄にしてしまいます。


このことから、2つ目の選択肢がより合理的な判断だといえます。しかし、サンクコストを意識するあまり「お金を払ったんだからモトを取らなければ」と2つ目の選択肢を選んでしまう人が多いのです。

モノを手放せないのはサンクコストのせいかも

もったいない = サンクコストを意識している?

あなた自身、もしくは家族の方が以下のいずれかに当てはまる場合、それはサンクコストに囚われてしまっているのかもしれません。


・「一度購入したものはほとんど使わなくても捨てられず、散らかっている」

・「不要だし価値もないと分かっているけど、置いたままにしておきたい」

・「不要なモノを捨てるよう説得しても(されても)聞く耳を持たない」


ほとんどの場合、「もったいない、いつか使う」という気持ちからモノを手放すことが出来ずにいます。一体何がサンクコストとなっているか考えてみましょう。

所有しているモノに関するサンクコスト

一度購入したモノに関して、その処分を検討する際に脳裏をよぎるサンクコストは以下の4つなどが挙げられるでしょう。


・購入するために費やしたお金

・そのお金を稼ぐための労働

・類似品からそのモノを厳選するために費やした時間など

・購入したけど実際そこまで使えていない=費用と見合うモトを取れていない分

所有することで引き起こされる損

サンクコストに捉われるあまり、モノを手放せない人たちは合理的な判断を下せていない可能性があります。モノを所有し続けることで、以下のような「損」を被っているかもしれません。


・モノに占有されているスペース分の家賃や土地代

・狭くて余裕のない生活スペース
・良くない衛生環境(清掃出来ないスペースにたまる埃など)

・より優れた新品を買えないため生活の質が低くなる

・家族や近所の人の悩みの種となる=人間関係が悪化する

本当は処分する方が効率的かも

実際はそのモノを処分してしまう方が効率的=得する可能性があるわけです。上のチケットの例に照らし合わせると、選択肢は以下の2つです。


1. 一度購入したモノを使っておらず邪魔だと思っているが、死ぬまで捨てない

2. 一度購入したモノを使っておらず邪魔だと思っているため、捨てる


選択肢の1をとったとしても、「所有しているモノに関するサンクコスト」は戻ってくることはありません。さらに悪いことに、「所有することで引き起こされる損」を被っている可能性があります。

選択肢の2をとった場合も、「所有しているモノに関するサンクコスト」は戻ってくることはありません。ただし、「所有することで引き起こされる損」を避けることが出来ます。

関連記事
人気
カテゴリー
人気の記事

昨日の人気の記事