ツァイガルニク効果とは、完了した物事よりも未完・中断の出来事の方がより印象に残りやすい、意識しやすい、という心理のことです。
本記事では、この心理についてよく知られていること、検証するために行われた実験の内容を分かりやすく紹介します。また、この心理を実家の片付けに応用できないか考察もしてみました。
ぜひ最後までお読みください。
・ツァイガルニク効果について
・ツァイガルニク効果の証明実験
・ツァイガルニク効果
ツァイガルニク効果とは、完了した出来事よりも、未完もしくは中断された出来事の方がより記憶に残りやすい、という現象のことです。
このような現象が起きる理由として、既に完了した出来事に関しては、完了したことで緊張が解かれる一方、まだ途中の出来事はそれを終えるまでの緊張が保たれ、その間は印象に強く残り続けるから、と説明されています。
テレビドラマの次週予告は、来週分の放送内容をわずかに公開することで、視聴者の興味・関心を煽り、来週も絶対見逃せない!という気持ちを抱かせます。
「来週も見よう」という気持ちになる要素はいくつかありますが、ツァイガルニク効果もそのひとつと言えるかもしれません。
この心理について研究を行ったBluma Zeigarnik(ブルーマ・ツァイガルニク)という心理学者の名前が、ツァイガルニク効果という名称の由来です。
なお、ブルーマ・ツァイガルニクが研究を行う以前にKurt Lewin(カート・レヴィン)という心理学者が同様の心理が存在するかもしれないということを示していました。その後、ツァイガルニクが実験などより詳しい調査を行ったとのことです。
「ツァルガイニク効果」と間違えて覚えないよう、気を付けましょう。
ツァイガルニク効果を確認することが出来た実験として、特に以下の2つが良く知られています。
・Kurt Lewin氏は、ウェイターが支払いが未だの注文内容は簡単に思い出すことが出来たが、支払い済みの注文に関してはほとんど覚えていなかった様子を見て、この現象に気づいた。
・Zeigarnik氏は、休憩なしで勉強してもらうグループと、勉強を途中で中断させた(途中からゲームで遊ぶなどしてもらう)グループのうち、後者がより勉強の内容について覚えていたことを確認した。
いくつかの実験で、ツァイガルニク効果らしき現象が確認される一方、他の研究では再現されなかった、という指摘もあります。
現在は100%存在するとも、しないともいえないという状況です。
ツァイガルニク効果は、主に以下の2つの方法で、実家の整理や住まいの片付けに応用することが出来そうです。
・モノを捨てられない人を説得する際のキッカケ
・怠けずに片づけを完了させるための休憩
それぞれ詳しく見ていきましょう。
実家は親や兄弟・姉妹のモノで溢れかえっていることが多いです。しかし、彼らに不要なものを処分するよう説得しても、「まだ使えるから」と反発されてしまい、最終的にはケンカになりがちです。
実は、ヒトはそもそも説得に反発する心理を持つことが知られています。この現象は心理的リアクタンスと呼ばれています。頭ごなしにモノを捨てるよう伝えても、受け入れてくれないのです。
そこで、声のかけ方を工夫してみましょう。例えば、実家の倉庫にある誰も使っておらず、たいした価値もない大きなタンスを処分したい場合。
母親もしくは父親へ、「そういえば言おうと思ってたんだけど...」と意味ありげなフレーズをぶつけます。相手が「何を?」と食いついてきたら、「やっぱりいいや、気にしないで」と引きましょう。
相手が「気になるから教えて!」という姿勢を見せたら、様子を伺いつつタンスを処分したい旨を伝えましょう。
「捨てなさい」と命令する形ではなく、相手の質問に答える形となるため、押しつけがましい印象が薄れるはずです。
片づけが苦手な人は、なかなか目の前のモノに手をつけることが出来ません。そこで、まずは時間を短く区切って、休憩をはさみながら作業にかかりましょう。
例えば、30分片づけを行ったら10分休憩する、など。30分の掃除を終えた時点で、まだ片づけが完了していないならば、ツァイガルニク効果により、片付けに対する集中度は維持されています。
休憩を終えた時点でも、片付けに意識が向いているため、次の30分を怠けずに乗り切ることが期待できます。
以上、本記事ではツァイガルニク効果について知られている一般的な知識と、その心理を応用して実家の片づけをはかどらせる方法について解説しました。
当サイトでは、他にも片付けに役立つ人間心理に関する記事を用意しています。「どうしても家をキレイにしたい」「モノを捨てられない人を説得できずに困っている」とお悩みの方は読んでみるといいかもしれません。
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