断捨離(断捨離)は2009年頃に発案者のやましたひでこ氏による本「新・片づけ術 断捨離」で提唱された考え方。現在では一般的に広く使われる言葉となっており、断捨離を実践する人のことをダンシャリアンと呼ぶこともあります。
身の回りの不要なモノを見極めてそれらを減らしていくようにする方が、たくさんのモノに囲まれているよりも、より良い生活を送れるのではという目的意識の元、自身とモノの関係を理解することで片づけが捗る、とされています。
遺品整理において、モノの仕分け・処分は主に以下のような目的で行われます。
・家・部屋の空間を有効利用
・賃貸物件・部屋の退去
・持ち家の売却
ただし、故人の残したモノを仕分け・処分する遺品整理、遺品整理の負担を抑えるために行う生前整理ともに、どれを捨てるべきか分からない、捨てたくても思い出が残っているため踏み出せない、といった悩みがつきもの。
結果としていつまで経っても作業が進まず、やるべき事が積もってしまい気持ちも落ち着かない、なんてことがあります。
断捨離のコツを活かしてその状況を改善しましょう!
断捨離の考え方は以下の3つから成り立っています。一般的にヨガの修行法である断行・捨行・離行を応用したとされています。
・断 不要なものを断つ
・捨 不要なものを捨てる
・離 モノへの執着から離れる
「断」は新たに現れるモノの中で自身にとって不要なモノを見極めて断つという事。手元に新たに入ってくるモノの数を減らします。
遺品整理においては既に周囲に置かれているモノと対峙することになるため、特に「捨」と「離」が重要になるといえるでしょう。
部屋や家にモノが溢れているということはつまり、貴重な生活空間の多くをあなたや家族ではなく、モノに支配されているということ。
自由に行動できる範囲が狭くなり、使わない・ただ置いてあるだけのモノに気を配りながら過ごすことは快適な生活とはいえません。その状況を改善するための断捨離というわけです。
とっておいたモノの使い道やいつ処分するかを常に考え続けていると、思考・決断の負担も発生します。
ちなみに、決断は人が理解している以上のエネルギーを必要とすることが知られています。例えば、Facebookの創設者であり現CEOのマーク・ザッカーバーグは、自身の思考を仕事でフルに発揮するためにそれ以外の生活に関わる意思決定の回数を少なくしているといいます。朝に着る服を毎日同じものにしたり、食事の際にもメニューを選ばないとのこと。
断捨離においてモノへの執着を抑える・減らすことで、モノを保管するか・処分するか、という決断を素早くし、費やされるエネルギーを減らすことになります。
日本には「もったいない」という言葉とそれにまつわる考え方があります。それ自体、モノを大切にする良い価値観であり、断捨離はそれを否定はしません。
ただし、「もったいない」を言い訳に、不要なモノを捨てる決断・行為を避けることがある、ということも確か。いずれは考えなければならない事を後回しにしてしまっているといえます。
*ワンガリ・マータイ: ケニアの女性政治家、環境保護活動家。2004年には環境分野の活動家として、またアフリカ人の女性として初のノーベル平和賞を受賞。2011年没。
注意するべき点として断捨離は、モノは最小限限度あればいい、というミニマリスト的な考え方ではないということ。
どちらもモノに縛られずに自信を主役とした生き方を目指す、という点では共通していますが、断捨離においては自分が部屋に置いておきたいモノまで捨てる必要はありません。
例えば、壁に掛けておく絵画。もしそれが自身の生活に彩りを与えてくれるモノであれば、それが生活に余分なモノだとしても所有していることはむしろ好ましいです。
断捨離においては身の回りに置いておくモノを「ミニマム」にする必要はないのです。
遺品整理において断捨離を行う際、まずは整理整頓をする空間を決めます。複数名で作業を行う場合、どのようなものを処分するか知識を共有しておき、作業に入ります。
モノを仕分ける際には、不要なモノ、必要なモノ(とっておくもの)、いったん保留にしておくモノの3カテゴリーを用意しておくといいでしょう。
故人に関わる各種手続きに費用な書類や印鑑、通帳、手帳などはコトが済むまでは保管しておいた方がベター。誤って捨ててしまわないようにしましょう。
また、不要なモノの判定基準として、断捨離において不要なモノが持つとされる以下の3つの性質が参考になります。
・不要 あれば使うが無くてもよい
・不適 以前は使用していたが今は使っていない
・不快 普段使用しているが気に入らない
本や洋服、食器などは「いつか使うだろうから...」と考え捨てずにとっておきがち。しかし、今も過去数年も使っていないモノは、不要なモノである可能性が高いです。
一度捨ててしまっても、また必要になればその時に買ったりもらったりすることも出来ます。
以下は、ついついとっておこうと思ってしまいがちなモノの例です。
・食器、キッチン用品
・本、その他印刷物
・服、靴
・ポイントカード
・文房具
・買い物袋、箱
・旅行先のパンフレット
・子供のおもちゃ
人からもらったものでも基本的には不要であれば処分してしまっても構いません。
写真はとっておいてもいいですし、データとしてパソコン等へ保存するという選択肢もあります。
人形やぬいぐるみ、仏壇・仏具は不要であっても捨てづらいとおもってしまいがち。実際には何も気にせず処分してしまっても問題ありませんが、どうしてもスピリチュアルな側面で引っ掛かるところがある場合は供養をしてから処分してもいいでしょう。
処分に手間やお金がかかるモノの処分はついつい後回しにしてしまいます。が、後でやろうと思っても、時間がたっても、その手間とお金が軽減されることはありません。いつやっても同じということです。
であれば、早くケリをつけた方がいいこともあります。
・人からもらったもの
・写真
・人形、ぬいぐるみ
・仏壇、仏具
・処分に手間お金がかかるもの(粗大ごみ、電化製品等)
上述の通り、断捨離はミニマリズムと異なるため自分や身の回りの方にとって必要なものを無理に処分する必要はありません。あくまで自身にとって心地よい空間を実現できればいいわけです。
また、あなたにとって不要なモノを欲しがっている人がいたら譲るべきであり、そのモノに価値があるなら売るべきでしょう。捨てるよりも前向きな気持ちでモノを処分できます。
ただし、あなたにとって優先すべきは目の前の空間の整理・片づけです。無理の欲しがる人を探そうと試みたり、大した額にもならないモノをフリマやリサイクルショップに出品するのはお勧めしません。
捨てるのを恐れてついついそうなりがちですが、あげる・売るにかかる手間も検討すべきでしょう。