ドアインザフェイス交渉で、モノを捨てられない家族を「ケンカ無し」で説得!

ドアインザフェイス(ドア・イン・ザ・フェイス)テクニックという交渉術を用いて「モノを捨てられない家族」を説得するコツを紹介しています。

本記事の要約

受け入れるにはハードルの高い依頼を先に行い、それを断らせることで、続くハードルの低い依頼を受け入れてもらう確率を高める、という交渉術「ドアインザフェイス」は、ビジネスや恋愛に応用されることが多いですが、家族関係で用いることも出来ます。

不要なモノを手放せない家族の説得に困っている方は、これを活用することで要求を受け入れてもらうことが出来るかもしれません。

そこで本記事は、ドアインザフェイスの概要と、その効果を検証した実験、そして片付けられない家族を説得するさいの応用について解説していきます。

本記事で解説する内容

・ドアインザフェイスについて

・ドアインザフェイスを検証した実験

・ドアインザフェイスで捨てられない人を説得

ドアインザフェイスについて

人間心理を利用した交渉術

ドアインザフェイス(ドア・イン・ザ・フェイステクニック)とは、相手にこちらの要求を受け入れてもらやすくするための、人間心理を利用した交渉術です。

ドアインザフェイスにおいて、説得者は、被説得者(説得される側の人)へお願いしたいこと A があります。このお願いAを伝える前に、お願いAよりもハードルが高く、被説得者が断るであろうお願いBを伝えます。

一度ハードルの高いお願いを断らせたうえで本来のお願いを伝えることで、本来のお願いを受け入れてもらう可能性が高くなると知られています。後述する実験においても、その効果が確認されています。

ドアインザフェイスが効果を持つ理由

ドアインザフェイスが効果を持つ理由は完全に解明されたわけではありませんが、主に以下の要素が働いていると考えられています。


・社会的な責任:他者は助けないといけないという社会のルールのようなものを意識して、小さな要求(先に提示する大きな要求と比較して)であれば受け入れてやろう、という心理が働く

・返報性:ひとつめの要求を断ると、相手は妥協してそれより小さい要求をしてくる。相手が妥協したのだから、こちらも妥協してやろう、という心理が働く。

ドアインザフェイスの語源

この交渉術の名前は、door-in-the-face techniqueという英語名称をそのまま直訳したものです。英語では、各単語の頭文字をとってDITFと呼ばれることもあります。

英語における名称の由来は、shut the door in (someone’s) faceというイディオムから来ています。このイディオムは日本語で言う「門前払い」であり、以下の2つの意味があります。


1. ドアを無礼な・敬意のない態度で閉めて、入ってこようとする人を通らせない

2. 誘いや依頼を、即座にもしくはよくない態度で断る


本記事で解説している交渉術のドアインザフェイスは、このうち2つ目が由来となっています。被説得者が、説得者のはじめの要請を即座に断る様子がイメージされています。


ちなみに、ドア・イン・ザ・フェイステクニックは日本においては譲歩的要請法と呼ばれることもあります。本記事では、以降シンプルに「ドアインザフェイス」という呼び方で統一します。

ドアインザフェイスの検証実験

実験の目的

ドアインザフェイスに関する実験は様々なものがありますが、特に1975年にアリゾナ州立大学のチャルディーニ教授を中心としたグループが行った実験がよく知られています。この実験は、ドアインザフェイスの効果を確認するために行われました。

実験の内容

実験の被験者を3つのグループへ振り分け、グループ毎に被験者それぞれへ異なる流れで依頼を行う。依頼は、ハードルの高い依頼とハードルの低い依頼が用意されている。各グル


【依頼の内容】

ハードルの高い依頼:「非行少年のために、2時間のカウンセリングを週に一度、2年間続けて行ってほしい」

ハードルの低い依頼:「非行少年を動物園へ連れていく(1日のみ)付き添いをしてほしい」


【被験者グループ】

・グループ1:調査スタッフが、被験者へハードルの高い依頼を伝える。断られたら、続けてハードルの低い依頼を伝える。

・グループ2:調査スタッフが、被験者へハードルの低い依頼のみを伝える。

・グループ3:調査スタッフが被験者へハードルの高い依頼の内容を紹介しつつも、お願いすることは無く、ハードルの低い依頼を引き受けてくれるよう頼む。

実験の結果

それぞれのグループにおける、ハードルの低い依頼を引き受けてくれた率は以下の通りです。

・グループ1:50%

・グループ2:17%

・グループ3:25%


ドアインザフェイスを利用したグループ1(ハードルの高い依頼を先に行い、断られたらハードルの低い依頼を行う)が最も承諾率が高いという結果になりました。

実験から分かること

実験の結果から、ハードルの低い依頼をそのまま伝えるよりも、一度ハードルの高い依頼を伝えて断ってもらう(ただ内容を伝えるだけではなく、依頼して断ってもらうことが大事)ことで、続くハードルの低い依頼を受け入れてもらう確率が高くなることが分かりました。

すなわち、少なくともこの実験においてはドアインザフェイスの効果は確かなものだと認められました。

ドアインザフェイスで「捨てられない」を解決

家族の説得にドアインザフェイスを応用

親や兄弟、パートナーがモノを捨てられない性分のため、不要としか思えないモノが溢れていると悩んでいる方は多いでしょう。捨てるよう説得しても、「まだ使うから」の一点張り。

そこで、相手を丸め込むために、ただ捨てるようお願いするのではなくドアインザフェイスを利用しましょう。

そもそも長い間捨てることが出来ていないものを、他の人が「それいらないよ」といっても納得がいくわけがないのです。基本的には断られるということを念頭において、まずはよりハードルの高い依頼を相手にぶつけましょう。

例えば、タンスの中にある何年も着ていない古い背広を捨てるようお願いしたい場合。全部捨てるよう伝えて断られたら、ひとつだけ捨ててもいいか尋ねるなどです。

感情に身を任せない

モノが多くて空間に余裕のない部屋や、埃まみれの倉庫を目にすると思わず感情的になり「どうして片付けないの」と威圧的なトーンで言葉を発してしまいがちです。

しかし、感情的なままドアインザフェイスで交渉をしてしまうと効果が薄れてしまいます。

ドアインザフェイスは、相手にひとつめの要求を断ってもらうことで「申し訳ない」と感じさせることが重要です。感情的なトーンでひとつめの要求をしてしまうと、相手はそれを不快に感じ、断ったことに対する責任を感じなくなってしまいます。

交渉術ドアインザフェイス【総括】

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