一貫性の原理とコミットメントがモノを手放せない理由?変化を好まない心理

人は、一度コミットするとその姿勢を一貫し続ける、という心理を持つと言われています。モノを捨てられない・手放せない、捨てるよう説得しても聞く耳を持たないのは人間の心理が働いているからかもしれません。

本記事の要約

人間の心理である「一貫性の原理」・そのきっかけとなる「コミットメント」とは、簡単にいうと一度発言したり、取り組んだことは続ける傾向にある、またはその姿勢を持ち続ける傾向にある、というものです。

これは、一度手に入れたモノを手放せない(もったいないから・いつか使うかもしれないから)人の心に働いている作用かもしれません。

説得する際は、相手が受け入れやすい要求を提示するなどして、とりあえずコミットメントを行ってもらうことで、今度はそちらに一貫性を向けてくれるかもしれません。


本記事では、この一貫性の原理とコミットメントについて、そしてそれらを家庭内の片付けに応用することについて解説していきます。

本記事で解説するポイント

・一貫性の原理とコミットメントについて

・一貫性の原理とコミットメントあるある

・捨てられないのは「一貫性の原理」?

・捨てるよう説得する際は、「コミットメント」を意識

一貫性の原理とコミットメント

一貫性の原理とは

一貫性の原理は、人間の行動や振る舞いを動機づける主な力とされています。言い換えれば、人間の持つ「一貫していたい」という欲求が、私たちの行動に影響を及ぼしているということです。

この力が作用するきっかけは、主に「コミットメント」であると考えられています。

コミットメントとは

コミットメントとは、発言や行動、選択などを行うことです。コミットメントにより、人は自身をある特定の立ち位置に置きます。


一貫性の原理とコミットメントを合わせて解説すると、ある人があるポジションへ一度身を置くと、以降その人はそのポジションに沿った行動を起こす傾向があるということです。

一貫性とコミットメントの人間心理は一般的にもよく知られており、特にビジネスなどにおける説得・交渉シーンにおいて広く利用されています。

一貫性の原理とコミットメントの利用1:フット・イン・ザ・ドア

フットインザドア(フット・イン・ザ・ドア)は、本来の要求を行う前に、相手が受け入れやすいと思われる、本来の要求よりもコストの小さい依頼を提示する、という方法です。

ひとつめの小さな要求を受け入れた(コミットメントした)相手は、続く要求も一貫性の原理により受け入れやすくなる、と言われています。

一貫性の原理とコミットメントの利用2:ローボール

ローボール(ローボール・テクニック)は、相手に要求を提示する際、思わずその要求を受け入れたくなるような魅力的な条件を付け足し、相手が一度その要求を受け入れたらそれらの条件を取り去って、そのうえでもう一度、どうするか相手に尋ねるという方法です。

いちど要求を受け入れてしまった(コミットメントした)相手は、条件が変わってしまったからといって、一貫性の原理により必ずしもその要求をキャンセルするわけではない、と言われています。

一貫性の原理とコミットメントあるある

思い返してみると、「あれって一貫性の原理だったのかも」と思う出来事は少なくないはずです。以下のような例が、よく挙げられます。

いずれの場合も、自分の中で何らかの理由や言い訳を作り出して(一度コミットメントしているため)、一貫性を保とうとしていると考えられます。


・月額支払いの衛星放送に加入しているけど、ほとんど見ていない。それでも解約していない。

・一度集めたあるマンガの単行本、内容にはほとんど飽きてしまっているけど、全巻揃えたい。

・借りてきた映画のDVD、開始30分でつまらないと分かったけど最後まで見てしまう。

捨てられないのは「一貫性の原理」?

一貫性を保ちたい = 持ち続けたい

家族が一度手に入れたモノを処分できない性分のため、家・部屋が散らかっている。またはスペースに余裕がなく生活しづらい。それらのモノは決して貴重なモノ、趣味のモノなどではなく、ほとんど使用されることのないモノ。


このような悩みを抱えている方々、本記事をここまで読んでもらって既に把握しているかもしれませんが、一度買ったり、もらったり(コミットメント)したものを「持ち続けたい」のは人間の心理(一貫性の原理)として仕方がないことなのです。

さらに、これまでずっと持ち続けてきたこと、捨てるよう言われても捨てなかった判断、はさらなるコミットメントであると考えることも出来るかもしれません。捨てない姿勢は一層強化されてきたわけです。


それでは、どのようにして「一貫性」を保とうとする相手を説得すればよいでしょうか。

捨てるよう説得する際は、「コミットメント」を意識

ポジションを変えるきっかけを与える

記事の上部で解説したフットインザドアとローボールのような、一貫性とコミットメントの心理を応用した交渉術を用いて、とりあえず相手にこちらの提示する簡単な要求を受け入れてもらうようにしましょう。

人によって受け入れやすい要求は異なりますが、以下のような例が考えられます。

・外食へ誘うなど簡単に応じてもらえそうな要求をし、あなたの要求にYESと反応してもらう

・庭掃除や模様替えなど、片付けに関する行動を手伝ってもらうよう尋ねる

・捨てるというのではなく買い取ってもらおう、譲ろうと声をかける

一度こちらの要求を受け入れてもらうことで、それがコミットメントとなり「モノを手放せない」ポジションから離れてくれるかもしれません。ポジションを変えることで、今度はそちらの姿勢を維持し続けたいという「一貫性」の心理が働くことも想像できます。

手放せない心理には理由がある【総括】

以上、一貫性の原理とコミットメントの概要、そしてその心理が引き起こす「捨てられない・手放せない」傾向について解説しました。

説得する際は、逆にその心理を利用して小さなコミットメントから取り組んでもらい、徐々に一貫性を持ちたくなるよう誘導しましょう。

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