千歳市にある遺品整理士認定協会は全国で唯一遺品整理士の資格を取得できる民間団体(一般社団法人)です。
設立から7年(2017年時点)で会員数は2万2456人、加盟する企業は950社。依頼数もそれに合わせて増加しているとのこと。
一般社団法人は2人以上の社員をそろえ、法務局で登記を行うことで基本的に誰でも設立することが出来ます。公益社団法人とは異なり、内閣総理大臣や都道府県知事、行政による承認や指導を受けることはありません。
遺品整理士は国や行政により認定される資格ではなく、遺品整理士認定協会の提供する養成講座を修了した方へ与えられる資格です。
遺品整理士の資格を有する方が在籍しているかどうかは、信頼できる遺品整理業者か否かを判断する際の目安となっています。
遺品整理士認定協会会長の木村さんによると、特に遺品整理代行サービスが認知されはじめた当初は不用品回収業者が特にノウハウもないまま遺品整理業を行うことによるトラブルが多発していたとのこと。遺品整理は法規制がないため、そのようなことが起きていました。
具体的には以下の3つのトラブルが挙げられます。
・高額請求 見積もり時とかけはなれた高額請求
・持ち去り 遺族に渡すべき遺品を勝手に持ち去る
・不正買取 リサイクルできるものを不正な価格で買い取る
これらのトラブルを避け、依頼者が適切なサービスを受けられるよう業界を健全化するために遺品整理士認定協会は設立されました。
実際の事例として、2017年11月に廃棄物処理法違反で自営業の澤井好希ら4人が逮捕された件があります。
遺品整理業務で出たごみおよそ400キロを不法にリサイクル業者の土地へ投棄したため逮捕されました。分別がめんどくさかったとの証言も出たとのこと。
彼らは「便利屋よっち」という事業所名のもと、遺品整理や引っ越し、不用品回収作業を行っていたとのこと。
遺品整理士認定協会は養成講座を提供しています。この講座を修了した方に遺品整理士認定証書が渡されます。
受講期間は2カ月間が目安となっており、資格を受けるにあたって必要な条件や年齢制限等は特にありません(反社会的勢力に所属する方は受講不可)。受講料は25,000円、会費は2年間で5,000円です。
口座には教本や問題集、録画された講座(DVD)が用いられ、レポート等の提出も行います。
遺品整理士の要請だけではなく開業支援も行っています。具体的には日本全国で開業・実務・営業支援のセミナーを行っており、独立開業を目指す方々へノウハウを提供しています。
協会推薦の優良企業とは、遺品整理士認定協会から遺品整理士資格の認定を受けた遺品整理士が在籍する企業のこと。日本全国で見つけることが出来ます。
もちろん遺品整理士は国や地方行政により認定される資格ではありませんが、管理する行政組織が無い中で協会認定の遺品整理士となることは一定の信用を保証された目安として機能しています。
各種メディア(新聞・テレビ)で特集されたり、会長の木村氏による遺品整理に関する本の執筆等を通して遺品整理についてより多くの方に認知してもらい、よりよいライフエンディングを過ごせるように活動しています。
遺品整理士の資格は、これまで述べた通り、遺品整理士認定協会が提供する養成講座を修了した方が認定されます。この際、認定証書も発行されます。
ただし、一般資格であるためお金を払って講座を履修すればだれでも取得出来るということも事実。この資格を所有しているからといって、確実に優良業者である、と言えない、ということも覚えておいた方がいいかもしれません。
遺品整理業者は、遺品整理士の資格に加えて、その提供するサービスによっては以下の3つの許認可を取得していることが多いです。
・産業廃棄物収集運搬許可(都道府県管轄)
・一般廃棄物収集運搬許可(市町村管轄)
・古物商許可(警察管轄)
ちなみに許認可とは国や都道県などの行政機関が国民生活の安全・保全のために、規制を設けたり特定の人・団体向けに規制を解除すること。
仕分けられた遺品のうち処分品・買取品に関わる一般廃棄物収集運搬許可、古物商許可は特に重要な許認可といえます。引き取ってもらった遺品が不当に投棄されたり販売されないよう、依頼する前に業者の公式サイトなどでこれらの許認可取得状況を確認してみてもいいかもしれません。
遺品整理作業で仕分けられた不用品、処分品を収集・運搬するために必要な許可です。