エンディングノートとは、自分の死や意思を伝えられない状態になる事を見越して、事前に自身の思いや周囲の人に伝えるべき情報を記入しておくノートであり、2011年公開のドキュメンタリー映画「エンディングノート」の公開をキッカケにメディア等でもよく扱われるようになりました。
平成23年に三菱UFJリサーチ&コンサルティングが行なった調査によると、調査対象者の63.5%もの人がエンディングノートの存在を知っていると回答している一方、実際に作成した事があるという人は2.0%という結果になったようです。
「作り方が分からない」、「何を書けばよいのか分からない」といった悩みも作成者が少ない要因だと思います。
エンディングノートを書く目的を今一度確認しましょう。
エンディングノートは、「自分の意思が伝えられなくなった時」のために周囲の人に伝えておきたい情報を記入しておくものです。自分の意思が伝えることが難しい状況として、以下のような場合が考えられます。
・亡くなる
・認知症を患う
・脳死や植物状態になる
・失踪、行方不明
上記のような状況に陥った際に家族や周りの人々に伝えておきたい事を思い浮かべて下さい。例えば、自分が脳死状態になった場合、延命措置を続けてほしいか、臓器提供に協力したいか、という事は伝えておきたいですよね。
このように自分が意思が伝えられない状態となった時を思い浮かべ、その時に伝えておくべきだと感じた事がエンディングノートに書くべき項目になります。
ここでまず、エンディングノートに書くべき内容の具体例を列挙しておきます。それぞれの項目についても詳しく本記事下部で詳しく解説します!
・個人情報
・親族、知人の情報
・資産、財産について
・デジタル情報
・医療、介護関係のこと
・葬儀やお墓について
・遺品整理についての事
・遺言、メッセージ
・ノート(Wordなどでも可)
・鉛筆やシャーペン
・記入すべき情報が記載された書類など
エンディングノート作成用のノート、無料でダウンロードできるテンプレートやアプリなどがありますが、普通のノートに書いても問題ないです。
また、必要に応じて書き換える事になると思うので、ボールペンよりも鉛筆やシャーペンで書くことをおススメします。
必要書類については、以下の「エンディングノートの内容」の部分を参考にして下さい。
上述のエンディングノートに記入すべき項目について、ひとつずつ解説します。これらの項目を記入するだけで立派なエンディングノートが完成するはずです。
自身の情報については、以下のようなものを記入すると良いでしょう。
・自分の名前
・生年月日
・血液型
・学歴、職歴など
・本籍地
・マイナンバー
・家系図
・自分史
・年金証書の情報
家系図や自分史は完璧なものを仕上げるとなると大変なので、簡易的なものでも充分でしょう。
もちろん上記以外の情報でも必要と感じたら記入して下さい。書きすぎてダメという事はないので、迷ったらとりあえず書いておくことをおススメします。
以下のような情報を記入すると良いです。
・親族、知人のプロフィール
・連絡先
・自分との間柄
・葬儀の告知について
・それぞれの方へ伝えておきたいメッセージ
以下の資産は遺産相続の対象となるものもあり、関連書類の在りかなども併記しておくと、相続手続き時の遺族の負担を減らせます。
・銀行の預貯金、通帳と印鑑の保管場所など
・保険契約(とくに生命保険は重要)
・株式、社債などの有価証券、その他金融資産
・不動産について
・クレジットカードの情報
・車両について
・貴重品の保管場所
・死後事務委任契約について*
*死後の葬儀や各種契約の解除などの事務作業を生前に親族などに委任する契約のこと
これらの情報を記入する場合、関係の無い人へ情報が漏洩してしまわないよう、ノートの保管場所に気をつける必要があります。
パソコンやスマートフォン、もしくはインターネット上の故人の情報は「デジタル遺品」と呼ばれ、家族もその遺品の存在を知らないケースが多く、エンディングノートでその存在をしっかり伝える必要があります。
具体的には以下のような情報を載せておくと良いと思います。
・ネットバンキングのアカウント情報
・FX口座などのアカウント情報
・ブログの今後について
・TwitterやFacebookなどSNSについて
・パソコン、スマホのデータについて
認知症などの病により自分の意思を上手く伝えられなくなった場合に備えて、以下のような項目も記入しておいた方が良いでしょう。
・服用していた薬の情報
・かかりつけ医、病院の情報
・アレルギー、体質等について
・保険証の保管場所
・延命処置の意思
・臓器提供の意思
葬儀の方法、埋葬方法についても詳細に明記しておくことで遺族の負担が減ります。例えば、葬儀には生前予約というシステムがあり、事前に自分の要望を事細かに伝えておく事ができます。
もし生前予約を行うのであれば、
・依頼した葬儀会社名
・連絡先
・契約内容
・契約に関する書類
といった情報をできるだけ詳しく記入してあげると親切ですよね。
「処分すべきもの」、「残しておくべきもの」はどれか指示しておく事で、遺品整理の作業は格段に楽になります。
とりわけマニアックな品はその価値が分かりにくく、愛好家の間では高値で取引されるような品であっても廃棄されてしまう恐れがあります。
そこで、エンディングノートには「この商品がどのようなものであるか」も詳しく記載しておくべきでしょう。
家族に伝えたいメッセージ、今の気持ちなどをエンディングノートに書き連ねるのも良いと思います。
また、エンディングノートには法的拘束力は無く、遺産相続に関しては法的拘束力のある遺言書を別に書く必要があります。遺言書の保管場所もエンディングノートに書き記しておきましょう。