クッション話法とは、相手の反論や意見・呼びかけに対して、まず肯定的な反応を見せるというコミュニケーションの仕方です。相手にネガティブな印象を与える否定的な反応と異なり、相手によい印象を与えることが出来ます。
これは家族内でのコミュニケーションにおいても用いることが出来ます。特に、実家の片付けやモノの処分を巡って口論する前に、まずは相手を肯定することで互いの落としどころを探ります。
「否定的な反応を無意識のスピードでしてしまう」「いつも会話が口論になってしまう」という方に特に読んでもらいたい記事です。
・クッション話法とは
・4つのクッション話法
クッション話法とは、会話をする際にまず相手の呼びかけを受け入れる(クッションのように受け止める)、ということを実行するための会話の仕方です。
相手の発言に対して、ついつい「いや...」「ちょっと待って...」「でも...」「だって...」と否定するようなことを言ってしまうことを避けるためには、クッション話法を意識するとよいといわれています。
主にビジネスにおいて、セールスマンはクッション話法を身に着けるよう教育されることがあります。他には、コミュニケーション能力の向上をはかるためにクッション話法を使うことをすすめられることがあります。
つい口グセで「だって...」「ちがう...」と切り出してしまう人は、その習慣をやめた方がよいといわれることが多いです。
理由として、相手の呼びかけにたいしてその気はなくとも否定的な発言をしてしまうと、相手も少し「ムッ」としてしまうことがあります。良くない印象を与えてしまいますし、これが説得・交渉の場面だと、求めている結果を得られない原因となってしまうでしょう。
そもそも、人は相手の呼びかけに対して否定的な反応を示してしまうことがあります。これは、心理的リアクタンスのページでも解説しています。
あなたがまず相手に拒否の反応を示すと、相手も思わず否定的な反応をとってしまい、会話のキャッチボールがうまくいかないのです。
そこで、「だって」「でも」という口グセを直すためにクッション話法を意識します。口グセを直すことで、上に挙げた問題を回避することが出来ます。
実家の片付けにおいては、例えば不要なモノをその持ち主である両親へ処分するよう伝えた場合。両親が「まだ使えるから捨てない」と返事をしたら、思わずそれに対して否定的な反応をしてしまいがちだと思います。
そうすると、相手は余計に反発し「絶対に捨てない!」と、より姿勢を固めてしまいます。そうなると説得は非常に難しいでしょう。
クッション話法を駆使して、まずは相手とうまくコミュニケーションをとり、相手の考えをひっくり返すチャンスを見出しましょう。
クッション話法は、以下の4つがよく使われます。ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
・イエスバット法
・イエスアンド法
・イエスイフ法
・イエスハウ法
イエスバット法は、まず相手の呼びかけを肯定したあと、それに続けてこちらの意見を話す方法です。
肯定することは確かですが、すぐに反論するかたちとなるため他の3つと比べると相手に与える印象は良くないです。
相手:「まだ使えるし、捨てたくないなぁ。」
あなた:「そうだよね、でもほんとに使う?」
イエスアンド法は、相手の呼びかけを肯定したあと否定するような接続詞を使わず、あくまで会話の延長上で、さらなる情報や意見を提供するという方法です。
「しかし」「でも」といった相手にネガティブな印象を与える言葉を用いないところがポイントです。あくまで相手の立場と同じ側にいますよ、という印象を与えます。
相手:「でも、これまだ使えるからねえ。」
あなた:「たしかにそうだよねぇ、使うかもしれない。どんな時に使うんだっけ?」
イエスイフ法は、相手の呼びかけを肯定したあと、続けて「もし~だったら..」と意見や情報を付け加えます、
こうすることで、相手が本当はどうしたいのか探っていくことが出来ます。そのなかで、こちらの要求に応じてくれるような条件を当てることが出来れば、説得はうまくいくはずです。
相手:「いつか使うから、まだ捨てたくないなぁ。」
あなた:「あったら使うかもねぇ。もし今年使わなかったら捨てるとか?」
イエスハウ法は、相手の呼びかけを肯定したあと、「どうしたら~」「どういうふうに~」と意見や情報を付け加えます。イエスイフ法と似ていますね。
イエスイフ法にも当てはまりますが、最終的な条件は相手が選択するというところがポイントです。あなたが無理やり押し付けたものではなく、相手が望んで選ぶことになるので納得しやすくなります。